問題解決コース – エミュレータコース 詳細

システムレベルデバッグ・検証技術

SoCハードウエアおよびSoCのうえで走るソフトウエアの
それぞれに対するデバッグ・検証をリードできる技術者を目指します

大規模なSoCを高速に検証する手段として、AIDCが保有する大規模論理エミュレータを用いてチップ完成前の段階からシステム全体の動作を再現し、
ソフトウェアとハードウェアを統合した検証手法を実践的に学びます。
エミュレーションによる検証効率化を体験しながら、設計段階での不具合抽出や開発サイクルの短縮につなげます。

コース概要

本コースは、ハードウェア設計者だけでなく、ソフトウェア開発者やシステムエンジニアも対象としています。
SoCの全体像を理解し、ソフトウェアとハードウェアの接点である「検証」工程を実践的に学ぶことで、
ソフトウェア視点からもハードウェアの挙動を把握できる力を養います。

仕様検討から検証仕様書の作成、論理シミュレーションやエミュレーションによる機能検証、
さらに評価ボードによる実機動作確認や電力解析まで、SoC開発における検証プロセスを一貫して体験します。
SoC開発における検証力を高めたい技術者、あるいはハードウェアの理解を深めたいソフトウェアエンジニアに最適な実践型プログラムです。

進め方

初回講義ではイントロダクションと開発環境の準備を行います。
原則として、毎週水曜日13:00に東京大学の講義室へ出席していただき、その場で次週の課題内容を説明します。
出席が難しい場合はビデオ会議によるオンライン参加も可能です。

開講日以外でもオンラインサポート日にはオンライン受講システムを通じて、リモートでの質問や講師への相談にも対応します。
各課題はグループ単位で取り組み、成果は翌週の講義で発表していただきます。

※フルリモートでの受講を希望される場合は、実機を使用する「ボード検証」の課題はスキップ対象となります。

開講スケジュール

2026年1月26日~3月11日 全7回(13時~17時)
受講申込期限:1月12日

本コースの受講には、事前テストの合格が必要です(既に合格している場合、再受験は不要)。

講義テーマ

1.仕様検討

SoC全体の構造とバス通信の仕組みを学びます。
提供されるAiIP仕様書をもとに、オンチップネットワークのアドレス割り当てや通信経路を確認し、AXIバスを例にRead/Write動作をタイミングチャートとして可視化します。
検証設計の第一歩として、SoCを構成する要素を論理的に整理する力を養います。

2.検証仕様書の作成

AiIP仕様書をもとに、検証の目的・範囲・確認項目を整理してまとめます。
どの機能を、どのような条件で、どのように確認するかを明確にし、後続のシミュレーションやエミュレーションで活用します。
検証環境の構成や信号観測ポイントの整理も行い、計画段階での検証設計力を身につけます。

3.機能検証(シミュレータ)

論理シミュレータを用いて、各自がまとめた検証観点に基づくテストを実行します。
レジスタアクセスやDMA転送の確認など、SoC内部の動作を波形解析で評価します。
テストシナリオの作成から結果の解釈まで、シミュレーション検証の一連の流れを実践します。

4.ボード検証

AIDCで試作したAIチップSoCを用いてボード動作検証を実施し、SoCが実際にどのように動作するかを確認します。
実機上での検証を通して、ハードウェアの動作特性やデバッグ手法を体験し、シミュレーションやエミュレーションとの関係を理解します。

5.機能検証(エミュレータ)

論理エミュレータを活用し、シミュレーションでは実行に時間を要する検証パターンを高速に実施します。
大規模SoCの動作を効率的に確認し、ハードウェア検証におけるエミュレーションの有効性を理解します。
実機検証との比較を通じて、検証手法の選択や活用の考え方を学びます。

6.電力解析

RTLシミュレーションの結果をもとに、モジュールごとの動作モードにおける消費電力を評価します。
解析結果を読み解きながら、動作パターンと電力の関係を考察し、低消費電力設計につながる検証手法を学びます。

※内容は変更になる可能性があります。

ゴール

  • SoCの検証パターンを設計し、シミュレーション・エミュレーションで動作確認できる。
  • オンチップバスおよびネットワーク構造を理解し、IP間通信を検証できる。
  • ボード検証を通じて、実機動作と仮想検証との関係を理解する。
  • 電力解析を通じて、設計段階での性能・効率評価が行える。